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簡単なことでは無いんだ、と。
だから、こんなにも嬉しくて、幸せなんだ。
胸が一杯で、泣きそうになる。
「ありがとう……」
思わず感謝を吐露すると、名前を呼ばれ、キスを請われた。
触れて、舌を絡ませ応える。
「……動くね」
「うん……」
呼吸が落ち着いてくると、下肢の緊張が緩んできたのを感じ、ひかるは崚の額にキスを落としては抽挿を始めた。
自宅から5軒先を見れば崚の家だと言うのに、ひかるはこの日も律儀に送ってくれた。
道中に「腰、平気……?」なんて本気で心配そうに聞くから、正直に「怠さと入ってる感が抜けない感じかな」と答えれば、何だか嬉しそうに「何それ」と笑っていて可愛くて。
やっぱり、ひかるの笑顔が好きだと思った。
歩いて数分、すぐに玄関前の門扉に到着して、穏やかだった時間に寂しさが滲む。
明日からは部活が始まり、今日のように1日中一緒には居れなくなる。
通話もするし、会えなくなる訳じゃないのに。
抱きしめたままでいたいくらいには、離れ難くて。
何か言いたげなひかるを見守っていると、周りを一瞥してはこちらを見上げ、口を開いた。
「今更なんだけど……恋人になって欲しい」
ちゃんと伝えてなかったよね、と。
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