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大神教
「神々は!! 私達に魔法というありがたい力を下さった!! その聖なる魔法を乱用し、悪魔となった者共は、即刻死刑に処すべし!! 」
今校舎の目の前で演説をしている集団は、『大神教』という、魔法は神が授けた奇跡だと信じている宗教団体だ。悪魔が教師をやっているというのを聞いて、即駆けつけたのだ。
「醜い悪魔め!! その姿を現せ!! 」
やつらは鈴が悪魔に効果的だと信じているが、そんなことはない。
「せ、先生」
「安心しろ。大丈夫だ」
レッドは校舎から出、教祖の前に立った。
「悪魔め......切り刻んでくれる!! 」
教祖は腰に下げていた刀を抜刀し、レッドに振った。しかしレッドはそれを予知していたかのように避け、指一本でその刀を破壊した。
「く、くそっ! ならばこれは!! 」
教祖は魔法を使い、大きな火の玉を出現させた。
「死ね悪魔ぁ!! 」
落ちてきた火の玉は、確実にレッドに当たった。しかし、レッドが焦げて現れることはなく、無傷だった。
「あ、悪魔、め......」
魔力を使った教祖は勝手に息切れ、限界を迎えていた。
「もう、止めろ」
「悪魔は......絶滅......させ......」
教祖はまだ魔法による攻撃を続けようとしていた。
「......悪魔になっちまうぞ」
「悪魔......殺す......」
教祖の聖なる炎は、だんだんとその鮮やかさを失い、黒く変色していった。
「おい......お前? 」
「アアアアアアアアアアアア!! 」
最終的には、教祖は悪魔に成り果てた。
「くっ、くそ!! 」
「先生!! 」
教祖の黒い炎を防いだのは、ギルだった。
「ギル、あぶねえだろ!下がってろ! 」
「いやだ! 先生を見殺しになんて出来ない! 」
ギルが放った防御魔法は既に限界を迎えていた。
「......ギル。俺が合図をしたら、魔法を解除して逃げろ」
「で、でも! 」
「わかったか?! 」
「っ! はい!! 」
ギルの防御魔法は一段と強まり、耐久度が増した。
「......今だ!! 」
「くっ!! 」
ギルは防御魔法を解除し、すぐさま後方へ飛んだ。
レッドは、炎にのまれた。
「先生ぇえええ!!! 」
黒い炎は絶え間なくレッドに襲いかかる。レッドが見えなくなるほど。
次の瞬間、炎から紅色の巨体が現れた。
「グウアアアアア!!! 」
「あれは、紅の悪魔!! 」
大神教信者達は悲鳴を挙げ、一目散に逃げていった。
「悪魔、め。退治してやる」
教祖は黒い炎を身に纏い、紅の悪魔に向かっていく。
しかし、紅の悪魔のような巨体に勝てるはずもなく、腕の一振りになぎ倒されてしまった。
すべきことを成し遂げた紅の悪魔は、段々と人間の形に戻っていった。
そして捕まった。
「先生は悪くない!! なんで先生を! 」
生徒達は全員で警察を非難した。しかしレッドはというと。
「お前ら、またいつか戻ってくるから、それまで自習して待ってろ」
教師だった。
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