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教師になった悪魔
「出ろ、お前に任務が課せられた」
その言葉は、魔法障壁が厳重に張られた地下の牢獄の囚人に向けられたものだった。たくさんの鎖に繋がれ、足枷を何個もつけられていた。
「なんだ......やっと処刑か? ......遅すぎ......ねぇか? 」
「違う、仕事だ、紅の悪魔」
「仕事? 」
「今日からお前には」
教師になってもらう。
-特異魔法学校-
「ということで、執行猶予付きで雇われ教師になった、スランタ・レッドだ。お前らの腐った脳ミソに魔法の技術を叩き込めと言われ、ここに来た」
レッドが喋っている相手は、生徒達だ。しかし、ただの生徒ではなかった。
この学校は、悪魔レベルの魔力を生まれもった者達の、学舎である。
「何か意見は? 」
そういうと、数名が手を挙げた。レッドは順番にその生徒を指名していった。
「まずはお前だ。お前は......ギル・カルスだな? 」
その生徒は、メガネをかけた知的そうな女子生徒だった。
「はい、あなたに質問します。なぜ悪魔が未成年の教師をするのでしょうか? 危険ではありませんか? 」
「ふむ、お前達も感じていると思うが、この教室には魔法が張られている。この室内での暴力行為及び精神汚染、生徒に何らかの危害を加えた悪魔は、即刻処刑するというものだ。だから安心。よかったな」
レッドは無表情で話している。
次の生徒は、不良っぽい女子生徒だった。
「お前は、デミート・アルガリックか。代々悪魔の監視役やってる家じゃねえか。お前んとこの親父には世話になった」
「うるせぇ、悪魔は余計なこと喋んな。で、お前なんで悪魔なのに皮膚が肌色なんだ? 」
悪魔はだいたい皮膚の色が人間とはかけ離れており、肌色の悪魔はいないも同然だ。
「生徒達に不安感を募らせないよう、人間の容姿になれと言われてな。こうした」
次の生徒は、オドオドしている小柄な女子生徒だった。名前は、セイ・チャイルズか。
「あの、教師にあなたが選ばれたのには理由があるんでしょうか? 」
「ああそうか、言ってなかったな。俺は紅の悪魔。五百年前、地球を滅ぼしかけた大悪魔だ」
その言葉に、教室内が凍りついた。
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