0人が本棚に入れています
本棚に追加
授業
「ん? なんだ? さっきまで威勢がよかったのに、急に萎んだな。どうした? 」
すると、デミートが立ち上がり、凄い剣幕でレッドに怒鳴った。
「嘘だろ?! 親父が自分の娘にそんなやつをつけるか?! 」
レッドはめんどくさそうに話し始めた。
「お前ら、さっきまで俺のこと見下してたよな。分かってる。悪魔は差別される生き物だ。そして、お前の親父はそうなることがわかっていたんだ。だから生徒が敬い、目上に感じられるように、俺が選ばれたんだ」
デミートは、これからずっと恐怖しながら過ごす学校生活に絶望していた。
「......まあ、自己紹介はこれぐらいにして、授業を始めるぞ」
レッドがする授業は普通の授業ではない。悪魔レベルの魔力を持った人間相手では、普通の授業は退屈で何の役にも立たないだろう。
それもレッドが選ばれた理由の一つだ。
実習室では魔力の放出の仕方。
「魔力は箱の中に入っているようなものだ。普通はその箱の蓋を全開にして魔力を放出する。しかし、我々悪魔は、蓋に穴をあけ、勢いよく魔力が飛び出るようにするんだ。人間がこれをやると、あっという間に干からびて、悪魔になる。お前らだったらそうはならないはずだ。やってみろ」
グラウンドで竹刀を使った約束試合。
「戦いでは、人間は視覚と聴覚しか使わん。しかし、悪魔はその人間から漏れ出る魔力、殺気を感知して戦いを有利に進める。そのために自らの目を潰す悪魔もいるぐらいだ。お前らは目を瞑ってやってみろ」
一日はそれで終わりだった。教室で挨拶をし、各自下校をした。
「あの、先生」
レッドに話しかけてきたのは、セイだった。気の弱い金髪の少女だ。
「なんだ? 面倒くさいことでなければ、少しは付き合ってやる」
「では、一つだけ質問です。悪魔と人間の恋についてどう思いますか? 」
ふむ、と少し考えた後、レッドはいった。
「別にいいと思う。悪魔も元は人間だ。魔力の箱が壊れて、その箱がある部屋そのものが魔力の箱になっただけだ」
「な、なるほど......」
少なからず女子に人気があるのを、レッドは理解していなかった。
最初のコメントを投稿しよう!