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秋雨(あきさめ)隆一(りゅういち)高校2年生。 中肉中背、成績クラス300人中150位、短距離走5人中3位。ライ○に登録された女子0人。特技無し!趣味ゲームのみ!中流階級の庶民生まれ庶民育ち庶民教育課程中。クラス会に混じると陽キャに「え?誰が呼んだの?」と言われる始末。 偉いやつが言ってた。どんな平凡でもどんな欠点があっても人間、何か1つを極めていれば注目されやすくなる。 俺が誇れることは、人に言えるようなことではない。ふっ…強いて言うならDTだ。童帝だ。…童貞だ。おっと憐れむのはまだ早い。出会いがなかったことは庶民育ち陰キャ出身の俺からすれば当然のことだろう。 しかしこれはあえての「DT」。 周りの陽キャが下世話な会話に花咲かせていても俺は鉄壁の守りを、いや鞘に納められた宝剣を死守する。 この青年、転生モノのゲームのやりすぎで馬鹿にしていた「30才までDTだったら魔法使いになれる」を一周回って、逆に信じてる。そしたら確約ハーレムでウハウハだと…救えないほどこじらせた厨二だ。 俺には心の中だけで愛してる女がいる。 彼女は陽キャ中の陽キャ、氷雨(ひさめ)君子(きみこ)。 君たちが想像する最も美しい女を想像してくれ。その女より美しいのが氷雨君子、そう言えば分かってくれるかな? その長髪はかぐや姫より美しい漆黒の川をイメージして、その白肌は美術品の絵画のように美しく生きている。頬骨に乗った桃色はとても自然で笑うと金色に輝く。瞳は一般人の1.2倍あり、黒目が大きい。化粧は限りなく控えめで唇は桃色肉厚ぷっくり。首がスラリと細長くスタイルはそこらのグラビアよりも完璧。…見た目だけが完璧と思ったか? 彼女は俺みたいな陰キャにもプリントを手渡ししてくれる天女のような優しさだ。 近くを歩くと桜の蕾のような甘酸っぱい控えめな香りがふわっ…と顔を撫でる。 それでいて男の話は一切噂されない正に高嶺の華。彼女が薔薇なら周囲におこぼれを貰いにむらがう女はカスミ草だ。 男だって無限に機嫌を取りに行くが彼女は天の羽衣のようにふわりふわり、笑顔でかわす。こんな美しい女性が側にいて好きにならないやつはホ○。かくいう俺も彼女を愛する男の1人だ。君子は美しい、多分世界中の誰よりも美しい女だ。
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