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「自由…か。」
今は自由じゃないのかな?そもそも感情の自由って何だろうか。
お爺ちゃんの言葉の真意を知りたくてうんうんと悩む僕を見て、お爺ちゃんはよっこらせと立ち上がり本棚の一番上の段から一冊の本を取り出して僕の前に置いた。
「次はこの本を読んでみるといい。男女の恋の物語だ。私も何度も読み返したお気に入りの小説だよ。」
男女の恋…。そのフレーズに、なんだか胸の奥がムズムズしてしまう。
「これも随分と古そうだね。」
パラパラとページをめくると所々が黄ばんでいて少しホコリっぽい匂いもする。
「あぁ、けれどまだ十分に読める。読んだらまた感想を聞かせておくれ。」
「清彦爺さんも、お爺ちゃんも、お父さんとお母さんも、みんなお見合い結婚なんだよね?」
「そうだよ。今はそれが一般的になったからねぇ。」
「お爺ちゃんはその……恋、とか…してみたかった?」
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