91人が本棚に入れています
本棚に追加
/168ページ
どんな朝であっても、いつも通りに学校へ行き授業を終え、友人と会話をし母の作ってくれたお弁当を食べる。
なんてことのない平穏な日々。
そう、毎日が『平穏』だ。
「今の時代は本当に平和だ、ありがたい。」
父は言う
「夏生はこんな時代を生きれて良かった、幸せだね。」
母は言う
父と母だけではない。物心ついたときから僕達は常にそういった教訓を聞かされ続けてきた。
テレビやインターネットでも『感情』がいかに些末で危険なものなのかをひたすら流し続け、幼稚園では『感情は不要』だということをお歌として園児に歌わせる。
小学校にあがった時からは『道徳』の時間が毎日の授業に組み込まれ、教師達は熱心に生徒へ『国の教え』を叩き込んでいた。
「愛や情、そういった感情は人を争いへと導きます。
昔は皆、誰かのために、自分のために…そんな『情』から人を咎め虐め、差別をし、争いを作り出していたのです。
今は違います!人は皆平等です!そんな下らない感情には惑わされず、みなさんは芯を強くもって生きましょう!」
とにかくこの世に生を受けたその日から毎日毎日、周りの大人達から『感情は不要だ』と言い聞かされ続ける。
だからこそ、今はそれが当たり前の世の中なのだ。
最初のコメントを投稿しよう!