3.勇気と強さと

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そんな春人の後を追うように、他の生徒たちも皆ゾロゾロと教室を出て行く。 「ま、待ってくれ。みんな。」 僕の静止など全く聞かず、最後の一人が教室から出た瞬間にドアは閉められた。 まさか、こんなにも話しを聞いてもらえないなんて...。 『実験に巻き込む』だなんて決してそんなつもりはない。けれど、他の生徒達から見たらこれは完全に僕の独りよがりにすぎないのだろう。 愕然(がくぜん)とし、己の情けなさにうなだれた。 その時 「ねぇ、」 ふいに声が聞こえ、ハッとし後ろを振り返る。 「話しって具体的にどんな話しをするの?」 「田中くん、松田さん。」 全員が教室から出て行ってしまったと思っていたが、一番後ろの席にまだ二人、残っていてくれた生徒がいた。
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