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田中 秋良と松田 皐月。
毎朝挨拶を交わすくらいで、未だにきちんと話しをしたことはない二人だ。
「ありがとう、残ってくれて…、た、例えばお互いの好きなことや趣味なんかを知ってそこから話しを深めていくのって面白いんじゃないかと思うんだ。」
自ら進んで友達作りなどしたことがない僕にとって、こういった案の全ては小説から学んだものだ。だから正直不安もある。
けれど、燕と小説の感想以外にもお互いの好きなことについて語り合う時間はとても有意義で楽しいものだった。
そうしているうちに少しずつ、距離が縮まっている感覚になれたんだ。
「ちなみに田中くんの好きなものや趣味って何かあるかい?」
「俺は…。」
もしもここで「ない」と返答されたら、終わる。
僕もそんなにお喋り上手ではない。むしろ人と話すのは苦手だ。
だから…
「俺は映画が好きでさ。将来は映像の仕事に就きたいと思ってる。」
「秋くん、動画の編集も自分でやって短編映画とか作ってるもんね。」
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