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「えっ!映画を作っているのかい?それはすごいね!」
あまり興奮はしないように抑えつつ、二人の前に椅子を持っていって座った。
ちょっと走っていったものだから、そんな僕の姿に田中くんは少し驚いた顔を見せたけれど松田さんは穏やかな表情そのままだった。
「というか…田中くんと松田さん、二人仲良いよね。入学した時から一緒にいるイメージが…。」
もしかして付き合ってるの?と言う言葉は飲みこんでおいた。
別に男女交際は禁止ではない。
けれど25歳になれば半ば強制的にAIによるカップリングお見合いが基本となっている今の時代、自ら恋人を作る人たちは圧倒的に少なかった。
「うん。私たち小さい時からの幼馴染みでね、家もずっと隣同士なんだぁ。」
少しつり気味の栗色の瞳に、同じく栗色の髪の毛の先をゆるく巻いている松田さんはその見た目には反してとてもおっとりとした口調で田中くんの方を見た。
そんな松田さんの方を見ずに田中くんは腕を組んだまま無言でコクリと頷く。
男子にしては髪が長めで、いつも腕を組んでいる印象の田中くんはポケットからスマートフォンを取り出し僕の目の前においた。
「うわぁ…。」
そこには草原らしき所をドシドシと歩く恐竜の姿が映し出されていた。
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