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そんな世の状況は日に日に酷くなり、経済難により企業の倒産や自ら命を絶つ者が増えた。そうこうしている間にも人々は争うことをやめなかった。
「あいつが悪い」「自分は悪くない」「政治家のせいだ」「国は何をやっているんだ」「なぜ誰も手を差し伸べないのだ」
皆、誰かを咎めいがみ合う。次第にそれは直接的な争いへと変わったいった。
そんな状況をまずいと思ったのは国なのか政府なのか、それともまた別の組織だったのか…。
それは今となっては誰にもわからないことだが、とにかくウイルスのワクチン開発と併用して何か大きな事態がこの時から動きだしていた。
ーー2022年、大規模な法の改正が起こった。
「感情の廃止を命ずる。」
これには日本中がザワついた。国は、政府は一体何を言っているのか。ついにおかしくなってしまったのか。
「愛という曖昧な感情は大変危険です。愛情と憎しみは表裏一体。私達は常に感情に翻弄され、争いを引き起こしていることにもっと早く気が付くべきでした。
さぁ、もう悩まなくて良いのです。みなさん、今こそ感情を捨てましょう!」
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