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「お前はどうする」
真琴が消えた空を見上げていたテツさんがゆっくりとこちらを向いた。
「……帰るよ。俺が帰る場所が無いのは変わらないけど」
それでも、やりたい事ができたから。
「良いだろう。ただし」
足元からふわふわと光の粒が現れる。
「寿命のうちの幾らかは頂いたからな。だから――」
視界が光と浮遊感に包まれる。
テツさんの声が頭に流れ込んできた。
「いつ終わるかもわからぬ命だ。全力でも、呆けても良い」
意識までもが光の海に飲まれていくような感覚に、俺はただ身を委ねた。
「最期の時に、人生なんてこんなものかって笑えれば、それで良いんじゃないか」
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