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プロローグ
「腹が減った」
鳴り響く警笛。
無機質な線路が、迫るライトの光に照らされる。
生と死を分ける一線の向こうから見上げるそいつが言った。
灰色の胴体に黒い筋が入ったその猫は、鯖トラと言われるもの。
「そんな所にいちゃ――」
急迫した状況に、猫を抱き上げ、大きく踏み出す。
間に合わない。
強烈な光に視界が塗りつぶされた。
「あぁ、腹が減った」
真っ白の世界に、さっきの声が響く。
「お前の時間を喰わせろ」
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