君と過ごした6日間

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 人と言うのは本当に不思議で、意識していない相手でも毎日関わっていると相手を思い出す場面が増えてくる。そう言えばこの味好きって言ってたな。とか、食べたいって言ってたアイスこれだったな。とか、会話の内容を思い出して相手を思い浮かべる。そしてそれを何度か繰り返しているうちに、少し気になる相手へ進化してしまう事がある。  私の場合、こうなってしまうともう後は突き進むだけで、少しからとてもになり、あっという間に好きと言う感情が芽生えてしまう。  日常会話の中のさりげない一言に、細い細いまち針を痛みのない程度に胸に刺されているような、そんな感覚を覚える。そうしてたくさん刺された針は大きな塊になって抜けなくなったり、時に深く私の心を抉り傷跡をつけようとする。一喜一憂しないように冷静にと何度も繰り返し自制を促すのだが、それもなかなか大変で、膨らみかけた気持ちを抑え込み気を逸らすと言う作業を心の中で何度も繰り返さなければいけないからだ。  そして何度も考え、何度も思い出す。自分と彼との年齢差を。  下手したら自分の子供でもおかしくない年齢。ニ十歳差。世間には四十歳差の夫婦や、もっと差のある夫婦も存在しているから取り立てて珍しい事ではないのかもしれないが、親子ほどの年齢差となるとやはりかなりマイノリティーな部類に入る事は自覚しているし、何をやっているんだろうと言う自問自答を繰り返すことも少なくない。  冷静になれ。何度も何度も言い聞かせては、どう頑張っても埋めれない差に落ち込み、涙し、開き直って、また落ち込む。
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