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プロローグ
探検隊は、偶然そこへたどり着いた。
鬱蒼と茂る森の中を三日、道なき道を方角だけ見失わぬように注意して進み続け、唐突に開けた場所へ出た。そこには廃城があった。
「こんな場所にこんなものがあったなんて」
隊長が驚き半分喜び半分といった調子で呟く。
探検隊は廃城の調査を開始した。
間もなく、大量の人骨と、一つの生き物の死骸が見つかった。
「女性の骨ばかりです、隊長」
「こちらに一つだけ男性のものもありました」
「そうか」
上の空で返事をする隊長は、生き物の死骸を調べていた。
温度はなく、死後硬直により固まっている。風にさらされてか毛並みはみすぼらしかった。白骨死体よりは後にだろうが、それでもずいぶん前に死んだらしい。
隊長は顔を上げ、隊員たちに尋ねた。
「なんの動物だと思う、これ」
隊員たちもそれぞれ調べたが、結論の出せる者はいなかった。きっと新種の動物だ、と一人が言って、隊は偉大な新発見に盛り上がった。
「ここにあるのは死体だが、探せば生きているのもいるはずだ」
探検隊は喜び勇んで廃城近辺の森の中を探し回ったが、死骸と同じ動物は終ぞ見つけられなかった。
成果のなかった数日後、一人の隊員がふと廃城のことを思い出した。
「そういえば、あの人骨って一体……」
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