市街地のコンビニ

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市街地のコンビニ

 2021年、感染症や世界情勢不安、この年は日本も不景気になり、倒産する会社も多かった。  中流と言える我が社も、時代の流れにより、人員削減に拍車が掛かり、リストラとして営業部は半数にカット、急な話ではあるが、俺もリストラとなった。 『解雇 田中和也』  会社の行動は早かった。まだ、2月にもならない中途半端な時期でもありながら、解雇通告だ。  その冷たくも痛烈な文書の文字だけは、今でも頭から消えることは無い。  解雇の件は、家族に報告するのは、エネルギーがいる。途中、コンビニで、缶コーヒーを買い、一息ついた。  妻とは、最近会話が少ない。この話は、本当に久々に面と向かって話をするのだ。マンションに帰り、切り出しづらかったが、妻に、解雇の話をすると、妻は、冷たい顔から、豹変し、 「あなたとはもう無理よ!私と子供の今後の生活はどうなるのよ!」 「すまない、会社の決定たがら、しかたないだろ」 「すまない、では、済まされないわ!」  妻とは、ここ数年前から、関係がギクシャクしていた。特に、毎日話題もなく、お互い関わることを避けていた。マンネリと性格の不一致だったのだろう。  結局、話は一方的に罵倒されるだけで、美紗と子供は、実家に帰り、俺たちは離婚することに。離婚届は、後に郵送されてきた。  離婚調停は、淡々と進み財産分与は、俺の手持ち金が少なかったことから、購入したマンションを売りに出すこととなった。小さい1Kの安アパートを借り、再出発として、この日から生活するようになった。  42歳にもなり、バツイチ仕事無し、安アパート。俺は、いきなりどん底となった。  次の日からは、職安通いの数週間、良い求人など、このご時世皆無だった。落ち込みつつ俺は、市街地の通り沿いのコンビニに立ち寄った。  何気なしに、本を立ち読み、飲み物や弁当類を眺め一週する。店員は、外国人かな。トイレに入り、アパートに帰ろうとした、その時、 『急募‼️ 夜間バイト時給1300円』  不意に目に飛び込んできた求人募集。時給も悪くないし、学生時代にコンビニバイトもしたことがあった。  今は、背に腹は変えられない。繋ぎでバイトもありだと考え、コンビニバイトの件をレジにいる店員に話したら、すぐに話を聞いてくれるとの運びとなった。  その日、オーナーは、バックヤードにいた。  
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