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1(空松かじきさん)
佐上宗一は年明け早々己の運のなさを呪いたくなった。
正月休みが終わり、ちょっとしたけだるさを感じながら、レジに立ってすぐのできごとだ。
目の前の買いもの客が、青い顔をしてポケットに何度も手を突っこみ、持っているバッグの中を隅々まで探したのち、今にも泣きそうな声で言ったのだ。
「お年玉、なくしました」
フリーターとして、雑貨屋『YONYON』で一年近くバイトをしているが、こんな想定外の客は初体験だった。だれかを呼ぼうにも小さな店なので従業員は佐上しかいない。店長も取引先との打ちあわせだとかで、店を出ていったばかりだ。
貧乏くじを引いた気分である。落胆しながら、佐上は客のようすを観察した。慌てふためき、ひたいには若干冷や汗が浮かんでいるようだ。
さて、どう対応してものか。佐上が考えていると、あることに気づいたのだった。
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