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春
「…………」
なせか、いつも『そこ』に行くのは『突然』だ。
いや、前兆として一瞬だけ『強い睡魔』が襲われるのだが、その睡魔の後に気がつけば、ここに来ている。
辺りは真っ白で、厚い靄に包まれて全然分からない視界が、次第に晴れて現れた『人』は『いつも同じ』で、いつもの様に無言のまま何も言ってこない。
「…………」
俺も別に話す事がないから、お互い無言になる。
『――――』
いや、最初の頃は向こうも何か話そうとした素振りはあった。
だが、今はそれすらもない。言うなれば「努力してみたけど、諦めた……」とでも言えばいいのだろうか。
とりあえず、いつもこの人を見て思うのは、会った事もないはずなのに、なぜだか「この人を俺は知っている」という事である――。
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