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『ありがとう。俺は今もこうして元気にやっている。だから、安心して欲しい』 「…………」  ――返ってくる言葉はない。  どういった仕組みにいるのかは分からないが、多分。死者と生者の間で『会話』を行っては行けないのかも知れない。  それくらい、あの世とこの世の間には、言葉では言い現せられない『違い』というモノがあるのだろう。  でも、目の前にいる人が穏やかにしているように見えた。 『――――』  そして、聞こえはしないものの、その人は俺に向かって何か言った様に思えた。 「……」  それを見た瞬間。俺は「ああ、大丈夫だ」という気持ちになった。 ◆  ◆  ◆  ◆  ◆ 「ん……」  そして、目が覚めると、目には一筋の涙が流れた跡があった……。  だが、涙を流しても、不思議と「寂しい」とか「悲しい」という気持ちはなく、むしろ『暖かい気持ち』に包まれていた。
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