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「それなら気にするな。俺はこの通りピンピンしているからな」
「それは……そうですが」
明神も俺と同じ『狐』の神様で、遠い昔にたった一匹で『野良』として生活していた俺を拾った物好きでもある。
そして、いくつも分社を持っており、その本社にいるとても偉い神様なのだが、なぜか俺が倒れる度に、この社に来てくれている。
多分、毎度の事で、この二匹の狛犬たちの気が動転しやすい事を知っているからなのだろうとは思うのだが……。
それでも、毎回来なくても……と思ってしまう。正直、かなり申し訳ない。
「お前らには心配をかけてしまったが」
「そんな! ここ数年は神在月の時も同じような状態でしたのに、それを忘れて二匹揃って貴方様のおそばを離れてしまった事が問題だったのです」
「ここ数年。そうだったな」
「ええ」
そういえば、俺がこの神社に来た時から、毎年の様に『睡魔』に襲われている。
修行をしている身だった時は、そんな事もなかったが、それでも睡魔が襲ってくるのは、決まっていつもこの国の四季と同じように『四回』だけだった。
去年は真っ白な靄が晴れる事はなく、ただただ靄の中に人影が写っているだけだった。
だが、今年はその靄も晴れて、そこにいる人物が誰なのか判別が出来るようになっている。
ただ、問題は『その人物を俺が覚えていない』という点だ。
最初に倒れた時、目を覚ました俺に対し、明神は「夢を……見たようだな」と尋ねてきたのだが、その表情どことなく嬉しそうだったのを覚えている。
そして、今回の事について明神が帰る間際に尋ねると……。
『そうか、そう……だな。お前は……分からないか。だが、その人の顔は、見覚えがあったんだな? それなら、今はそれでいい』
明神はそれだけ言って帰ってしまった。
「あれは……」
「どうかされましたか?」
「まさか、またご気分が?」
心配そうにしている二匹に対し「いや、大丈夫。心配をかけて悪いな」と言いつつ俺は、明神の言葉の『意味』について頭をひねる事になるのだった。
「それなら気にするな。俺はこの通りピンピンしているからな」
「それは……そうですが」
その神も俺と同じ『狐の姿』をした神様で、遠い昔にたった一匹で『野良』として生活していた俺を拾った物好きでもある。
そして、いくつも分社を持っており、その本社にいるとても偉い神様なのだが、なぜか俺が倒れる度に、この社に来てくれている。
多分、毎度の事で、この二匹の狛犬たちの気が動転しやすい事を知っているからなのだろうとは思うのだが……。
それでも、毎回来なくても……と思ってしまう。正直、かなり申し訳ない。
「お前らには心配をかけてしまったが」
「そんな! ここ数年は神在月の時も同じような状態でしたのに、それを忘れて二匹揃って貴方様のおそばを離れてしまった事が問題だったのです」
「ここ数年。そうだったな」
「ええ」
そういえば、俺がこの神社に来た時から、毎年の様に『睡魔』に襲われている。
修行をしている身だった時は、そんな事もなかったが、それでも睡魔が襲ってくるのは、決まっていつもこの国の四季と同じように『四回』だけだった。
去年は真っ白な靄が晴れる事はなく、ただただ靄の中に人影が写っているだけだった。
だが、今年はその靄も晴れて、そこにいる人物が誰なのか判別が出来るようになっている。
ただ、問題は『その人物を俺が覚えていない』という点だ。
最初に倒れた時、目を覚ました俺に対し、その彼は「夢を……見たようだな」と尋ねてきたのだが、その表情どことなく嬉しそうだったのを覚えている。
そして、今回の事について帰る間際に尋ねると……。
『そうか、そう……だな。お前は……分からないか。だが、その人の顔は、見覚えがあったんだな? それなら、今はそれでいい』
それだけ言って彼は帰った。
「あれは……」
「どうかされましたか?」
「まさか、またご気分が?」
心配そうにしている二匹に対し「いや、大丈夫。心配をかけて悪いな」と言いつつ俺は、の言そ葉の『意味』について頭をひねる事になるのだった。
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