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「おう、久しいな……って程でもないか」 「いえ、お久しぶりです。申し訳ございません、突然押しかけてしまいまして」  一人で待つには大きすぎる畳が敷き詰められた大広間の中心で、俺は気さくに片手を上げて入って来た彼に対し、正座して頭を下げた。 「いや、気にするな。大体の検討はついている。大方、お前があの社についてから襲われるようになった『睡魔』についてだろう」 「……はい」 「大体の検討はついたか?」 「私としては、あくまで『なんとなく……』という感覚の範疇を出ないのですが」 「――それでいい。それが『願い』だったからな」 「願い……」 「ああ。まぁ、お前も察しはついていたとは思うが、あの夢に出て来たのは、お前の母親だ」 「やはり、そうでしたか」  夢に出て来た『あの人』は、あまりにも目元が俺によく似ていた。 「あの社は元々は『俺の兄』つまり、お前の父親がいた。そして、お前の母親は、分かっている通り『人間』だ。お前は、半人半狐というワケだ」 「俺は半分人間……というワケですか」 「ああ、俺の兄は……病弱でな。本来であれば、この位も俺ではなく、兄が継ぐはずだった。しかし……思った以上に兄の病気は深刻でな」 「そもそもあやかしが『病気』になる事自体ありえないはずでは?」 「ああ、本来であればありえない話ではあるのだが、可能性としてあるのが、生活環境の変化と人間たちの価値観の変化ではないだろうか……と、俺は思っている」 「変化……ですか」  今の俺がいる神社もそうだ。
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