1/3
前へ
/12ページ
次へ

「…………」  なせか、いつも『そこ』に行くのは『突然』だ。  いや、前兆として一瞬だけ『強い睡魔』が襲われるのだが、その睡魔の後に気がつけば、ここに来ている。  辺りは真っ白で、厚い(もや)に包まれて全然分からない視界が、次第に晴れて現れた『人』は『いつも同じ』で、いつもの様に無言のまま何も言ってこない。 「…………」  俺も別に話す事がないから、お互い無言になる。 『――――』  いや、最初の頃は向こうも何か話そうとした素振りはあった。  だが、今はそれすらもない。言うなれば「努力してみたけど、諦めた……」とでも言えばいいのだろうか。  とりあえず、いつもこの人を見て思うのは、会った事もないはずなのに、なぜだか「この人を俺は知っている」という事である――。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加