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同棲って難しい。
友人に反対されたときに従っておくべきだった。何度後悔したか分からないけど、ぎりぎりまで頑張りたかったのだ。
「うーん、次っ」
トイレとシャワールームの間にしゃがみ、足あとを見つける。妙な掛け声も板に付いてきたがそろそろ終わってしまいそうだ。
「ああ……」
漏れ出た声、肩も落ちる。足あとの先にあったベッドに腰掛け、仰向けで上半身を倒す。天井が迫ってくる。
「ねえ、ここ座って」
ぼふぼふ、とベッドを叩いた。ずっと悩んできたことを話すのだ。だから本当はテーブルがいいんだけど、彼が立て膝を付いてテレビを見ていた。
「なんで」
「話したいことがあるの。ちゃんと聞いてほしいから――」
「このままで聞こえるよ?」
私の誘う場所まで彼に来てほしい、という小さなわがままだった。
「だからちゃんと話したいんだってば」
前回も前々回もはぐらかされたから今回がラストチャンスだと決めていたのに。
「じゃあお前がこっちくればいいだろ」
すん、と胸の奥から何かが抜けていった。ああ。私の見当違いだと思いたかったのに。
「……もういい」
「はあ?」
すくっと立ち上がり、部屋着を脱ぐ。行為中、脱がせるのが好きだと彼が言ってから、自分で脱いだことはない。そんな私がいきなり下着姿になって目を丸くしたようだ。
「え、なにしてんの」
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