土曜日の出来事

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「あ……」 「おはようございます。 あの……どうかしたんですか……?」 この時間に和輝くんをおぶってるのもおかしいし、さっきの電話を終えてのため息も気になる。 和輝くんがパジャマのままな事に、近くに行って気付いた。 「……実は、和輝が夜中から熱があってな。 今病院連れてったんやけど 溶連菌やって」 「溶連菌……熱はどれくらいあるんですか」 松下さんの背中で眠る和輝くんに目を向けたら 顔は赤くて いつもの和輝くんではないって分かる。 「さっき病院で測った時は39度近くあったな」 「39度……」 大人だって辛いくらいの熱だ。 「でも……土曜日で良かったですね。松下さんお休みで……」 「……それが今会社から電話あって呼び出されたんよ。断ったんやけど、オレしか対応出来んトラブルで……。 病気じゃ保育園も預けられんし、一緒にいてやりたいんやけど……」 背中の和輝くんを見ながら 困った表情の松下さん。 少し悩んで、考えて──。 「あの……良かったら私が見てましょうか? 和輝くん」 「………え」 出過ぎた事かも そう思ったけれど、もし役に立てるならと申し出てみた。 「……私なんかじゃ心配かも知れないんですけど……」 「いや! ホンマに頼んでええなら、お願いしたい」 松下さんの表情が厳しい感じから 少しホッとしたような、そんなふうに変わったように見えて、それがとっても嬉しかった。
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