404人が本棚に入れています
本棚に追加
感動で言葉が出なくて
ただ松下さんを見つめてたら
その顔がほんのり赤くなってテレ笑いな表情になる。
「………オレ、顔赤い……?」
そんなふうに瞬きを何度もして聞くから
クスッと笑ってしまう。
「……耳も赤い」
そう言ったら、余計テレた顔になって
「へ?ホンマに?」
何度もパチパチと瞬き。
さっきの優しいパパの顔とは別の、素顔を見せる恋人の顔。
……なんだろう。
私、こんなに人を愛しいと思ったの初めて
こんなに側にいたいと思ったのも初めて。
色んな顔
これからもずっとこうやって見せて欲しい。
目の前の松下さんに
そんな気持ちで微笑んだら
私を見て、同じ様に松下さんも微笑む。
「……ほんまにありがとう」
気持ちのこもった“ありがとう”には
同じだけの思いを込めて。
「私も………ありがとう」
何が?なんて言わないでよ?
私達のありがとうは、どっちも同じ
『一緒にいてくれて』
でしょう?
同じだからこそ
目と目だけで
言葉にしなくても通じる瞬間。
握られた手が一度離れて
また触れた手は
二人の指を交差させ
優しい力が私を引き寄せる。
最初のコメントを投稿しよう!