ワガママ息子

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✻Keiichiro✻ 戻る前にもう一度大きく深呼吸。 コップを持って、二人のいるソファへと戻る。 「ほら」 差し出したコップを 和輝は遥の足の上に座ったまま受け取って、両手で持ち飲んだ。 その間にも合う、目と目。 こんな時 やっぱり男と女じゃ違うんかな。 ……女でも もしもの世界は浮かぶんやろか。 「飲んだ」 また心ここにあらずなオレに 和輝が空になったコップを差し出す。 「え……あ、お、おう。飲み終わったんかい」 和輝はオレにコップを渡すと、またさっきのように遥に抱きつき 「僕、ママお姉ちゃんと寝る」 そう言って、遥の胸の辺りに顔をうずめる。 思わぬ和輝の発言にビックリしつつも 今、和輝がしてる事を羨ましく思ったりして まだ冷却し切れてない気持ちが隠せずに、瞬きが多くなってる事に自分でも気付く。 「一緒にって……あのなぁ」 そういや前にも同じ事言われた事あったな。 あの時も、玄関前で抱きしめた時に和輝が来て 慌てて離れたんやったな。 「ねぇ、ママお姉ちゃん。ええやろ?」 和輝はハッキリ答えないオレから、あっさり聞く相手を遥に切り替えた。 いつからそんなん知恵が働くようになったん? そんな事を考えてたら、遥がオレを見て 「………どうする?」 なんて微笑むから 色んな想いと期待が合わさって いい歳した男が 笑っちゃうくらいにドキドキしたりして。 「……ワガママ息子のお願い、聞いてもらってもええかな」 オレの言葉に、君は和輝を抱きしめて うん、と笑顔で頷いた。
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