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『ねないこだれだ』
一度自分の部屋に戻りお風呂に入って
あとは寝るだけ、そんな支度をして
また圭一郎さんの部屋へと行った。
こちらもお風呂を済ませ
和輝くんもパジャマに着替えて、私を出迎えてくれた。
圭一郎さんは首にタオルをかけて髪を拭きながら
Tシャツにスウェット姿。
自分の事は後回しで、何もかもが和輝くん優先なんだろうな。
髪を乾かすのだって、きっとそう。
和輝くんに手を引かれながら、リビング続きの和室へと向かう。
「パパが本読んでくれるんやって」
「え?そうなの?」
「今日は特別やて言うてた」
そんな和輝くんの言葉に
すぐ後ろにいた圭一郎さんを見たら
やっぱり苦笑いな顔で
「お前なぁ……。
そこは、いつも読んでもらってるとか言わんかい」
「いつもやないやん」
「アホ、ちょっとは話合わせてもええやろ」
可愛い親子のやり取りに、思わず笑ってしまう。
この部屋の中では
毎日毎日、こんな場面が当たり前のようにあるんだろうな。
そんな賑やかな空間に
いつもいれたらどんなに毎日楽しいだろう。
二人の笑ってる顔は
気付けばつられて笑ってしまう位の力がある。
ずっと一緒にいたいな
──言えないけど。
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