『ねないこだれだ』

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二組しかない布団をぎゅっとくっつけて 真ん中に和輝くん 和輝くんの左側に圭一郎さん、右側に私。 みんなでうつ伏せになって、もう枕元に用意されてた絵本を圭一郎さんが手に取った。 「あ、それ私知ってる!」 昔見た記憶のある表紙 ウサギとおばけの絵 『おばけのてんぷら』 「やっぱり? オレもめっちゃ覚えてて 和輝が保育園で借りて来たんやけど まだあったんやって懐かしいよなぁー。 このおばけシリーズみたいのあったやん?」 「あった、あった!ほら、あの……!」 目を合わせてニンマリ 「ねないこだれだ!」 「ねないこだれだ!」 二人でハモる 懐かしい昔読んだ絵本のタイトル。 生まれた年も場所も違うからこそ、小さな共通点が嬉しい。 真ん中でキョトンとした顔の和輝くんに 「和輝、今度はこのおばけの絵の 『ねないこだれだ』って絵本借りて来い」 なんて圭一郎さんは笑うと 手に持った『おばけのてんぷら』の絵本を開いた。 「うさこは食べることが大好きです」 最初の一行を読んだだけで、和輝くんはケラケラと笑い出す。 うさこがてんぷらを作る所 おばけがてんぷらになりかける所 圭一郎さんの読み方はもちろん 身振り手振り、表情付きの読み聞かせに 私も和輝くんと一緒になって笑った。
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