メッセージ

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✻Keiichiro✻ だけどウソが下手で 嬉しい時は嬉しいと 悲しい時は悲しいと ちゃんと伝わるから オレは構えずに受け止められるし 自分も同じように向き合える。 何より一番驚いたのは 遥がオレを 嫁さんと同じように“圭一郎さん”と呼んだ事。 色んな呼び方がある中で 二人がどうしてそれを選んだのかは分からないけれど 不思議に心地いい響き 『圭一郎さん』 そんな二人だからこそ 目に見えない何かが作用してるのか。 自分に良く似た遥に 嫁さんは、オレや和輝を託そうとしてるんじゃないか、なんて そんなふうに思ったり。 まぁ……オレの都合のいい解釈だけど。 仰向けに寝てた身体をゴロンと横にして 和輝と、その向こうに眠る遥の方を向いた。 このタイミングでの 夢のようで夢じゃない、あの日の嫁さんの記憶を遥が見たのには意味があるような気がする。 オレがさっき ふと、ミホちゃんの事を思い出したのも 多分偶然じゃない。 『半年待ってやる』 1月に嫁さんの両親に言われた事は 1日だって忘れた事はない。 そしてその半年のリミットはすぐそこまで来てる。 そっと手を伸ばして、和輝の頭を撫で 視線はその向こうの君へ。 和輝を渡すか、裁判で争うか──。 君が見た夢の中の記憶が、もしも本当に嫁さんの想いが見せたものならば それはオレへのメッセージでもあるんだろうな。 "彼女なら" オレの気持ちと同じ、そんなメッセージ。
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