プレプロポーズ?

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✻Keiichiro✻ 調停の日が決まった今 1分でも早く話しておきたかったから 和輝が眠った後 『今から少し会えない?』と遥にLINEを送った。 それから数分後 部屋にやって来た遥は 急いで来たのが分かる、乾かし切れてない髪。 こんなふうに呼び出すのは初めての事だから 何かあると感じたんかな。 ソファに座り オレは裁判所からの通知書を遥に渡した。 最初の一行を見ただけで、驚いた表情でオレの顔を見るから、ただ頷けば それだけで伝わったようで、また遥は通知書に視線を戻した。 「……来週なんですね」 「………ん。 日にちも勝手に決められるんやな」 調停の日は来週の水曜の13時 仕事は午前中で早上がりするしかない。 読み終えた通知書を綺麗に折って、オレに差し出し 「……圭一郎さん」 「ん?」 真っ直ぐにオレを見て 「私は……どうしたらいい? ……どうするのが 圭一郎さんと和輝くんにとっていい……?」 その顔は、オレがどんな事を今言っても受け入れるつもりなのか、強い意志を感じる。 「……勝手やけど……オレのワガママ聞いて貰ってもええかな」 そんな言葉に、ほんの一瞬不安を覗かせた揺れる目。 だけどそれは本当に一瞬で うん、と少し微笑んで頷く。 「………今まで通りいて欲しい。 間違いなく巻き込む事になってまうけど、オレも和輝も遥がおらん事はもう考えられへん」 まるで早過ぎるプレプロポーズみたい。 だけどこれこそ オレの本音 嬉しそうに少しテレたように頷く そんな君にいつか本物の……。 なんて思う夜。
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