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申立人と相手方
✻Keiichiro✻
そして翌週の水曜日。
会社には事情を話して早退させて貰い、その足で家庭裁判所へと向かった。
初めて足を踏み入れる場所。
案内された調停室には、テーブルとそれを囲むようにイスが5脚。
すでに2人の裁判所の人だろうスーツ姿の人が座っていた。
その2人とテーブルを挟み座ると
「相手方の松下圭一郎さんですね」
白髪まじりの年配の男の人が、手にした用紙を見ながら言う。
「……はい、松下です」
「私は調停委員の松川と申します」
軽く頭を下げると
その松川さんの隣に座る、やはり年配の女性が
「調停委員の小田です。宜しくお願いします」
同じように名乗る。
そして、そこから始まった調停は
白黒をつけるものじゃなく、ここにもう1人裁判官が加わり、申立人と相手方、お互いが納得の行く解決策を見つけるものだと説明を受けた。
もうこの前に、申立人である嫁さんの父親と調停委員との話し合いがあって、オレは二番手だと言う事と
今、待合室にその義理の父がいる事も今知った。
それだけで
今までとは違う緊張感が走って
手のひらに汗が滲む。
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