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走って来た和輝くんが抱きついた先は私の足で、
圭一郎さんと私は顔を合わせて苦笑い。
「ねぇねぇ。
今度ね、ツヨシ先生とお泊りしてもいい?」
和輝くんが顔を上げて、圭一郎さんに言う。
「お泊り?」
そしてハモる私達。
「ツヨシ先生と保育園で一緒に寝るんやって!
パパが良いって言ったら、お泊りして良いって」
なんの事だろうと思ってる所に、タイミング良くツヨシ先生が現れて
「コラァ!和輝ー!また上履きのまま!」
そう言いながらこちらへ歩いて来る。
そして、まだ片手だけ圭一郎さんの腕に掴まってる私の手を見てニヤリと笑うから、慌てて手を離した。
そんな私に何か言おうとしたツヨシ先生に
「ツヨシ先生、僕もお泊りして良いんだよね」
和輝くんが、先生のエプロンを引っ張って聞く。
「え?あ、そうそう!
そうなんですよ、実は………」
和輝くんの言う“お泊り”の真相は
来週、保育園で行われる5歳児クラスのお泊まり保育に、他のクラスの園児も希望があれば参加出来ると言う事だった。
「土日なのでね、保護者の方にもリフレッシュして貰う目的もあるんですわ。
昨日、連絡帳にも書いたんですけどね」
ツヨシ先生は和輝くんの頭を撫でながら
……というより、ぐしゃぐしゃと弄りながら話す。
「あ……すんません、見てなかったわ」
圭一郎さんは頭を掻きながら
ヤバイって顔をした。
「ねぇー、あきらくんも泊まるんやってー!」
そやなぁ……と、圭一郎さんはポツリと呟いた。
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