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恋愛仕様
✻Keiichiro✻
車の中から見えた
ちょっと小走りでかけて来た遥。
周りを見渡しながらオレを探してるのが分かって
それだけでも嬉しかったけれど
いつもとなんとなく雰囲気が違って見えて
もしかしてオレの為?なんて思ったら
嬉しさにプラスアルファ。
もし聞いて違ってたら、自惚れてた自分が恥ずかしいから止めようと思ったけど、気になって聞いてしまった。
助手席から感じる視線。
「……ちょっとだけね、変えてみたんだけど……。
……変かな」
やっぱりそうやったんや。
オレの自惚れじゃなかった。
「変なワケないやん!
……いや、なんや……オレの為なんかなぁ、なんて思ってな、聞いてみたくなった」
“オレの為”
そこまで言うつもり無かったのに口走ってしまった。
良い大人なオレの、自分のアオハル的発言に顔が熱くなって行く。
「……二人だけだから、いつもと少しだけ違くしてみようと思って……。
圭一郎さんに会う為だけの私、みたいな……そんな感じ」
遥の言葉に、思わずチラッと助手席に目を向けたら目が合って
お互いテレた顔で笑う。
スッピンも
寝顔も
泣いた顔も
色んな顔を見て来たけれど
今日はまた特別──。
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