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お二人さん
私達の前に並んでたサラリーマンの人がお店に入って、5分もしないうちにドアが開いて
さっきの店長の奥さんが顔を覗かせ
「お待たせ、二人とも入って入って」
良くテレビで見かける、いつも明るくて元気な料理家の人に似てる奥さんは、早く!と手招き。
圭一郎さんと一緒にお店の中に入ると
中は昼休み中のサラリーマンだろう人でいっぱい。
「お二人さん、こっちね」
案内されたのは、カウンター席の一番奥。
圭一郎さんの手が背中に触れて、そこへと向かおうと一歩踏み出したら
「おっ、圭ちゃん!とうとう連れて来たな」
カウンターの向こう側から、多分店長さんなんだろう人が、これまた大きな声で話しかけて来る。
全然関係のない人達の視線まで集めて、なんだか恥ずかしくなって立ち止まると
背中にあった圭一郎さんの手が、また肩へと回って
「店長、声デカ過ぎやって」
すぐ隣で笑う圭一郎さんは、そうやってそこにいるだけで、私に安心感をくれる。
その手が触れてるだけで
大丈夫って言われてるような気さえする。
「あー、すまんすまん。
まぁ、とりあえず二人仲良く座ってよ」
一番端に私、その隣に圭一郎さん。
勝手な推測だけど
変な注目を浴びてるから、もしかして隠してくれてるのかな、なんて思ったり。
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