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安全地帯
ゴォーゴォーゴォー
轟音と強風が吹き荒れる。この時間帯は毎日激戦だ。
「おい、無事か?」
「ああ、なんとか。今日も乗り越えたかな」
ここに身を潜めて、どのくらい経つだろうか。空も見えない狭い空間に身を寄せ合って、僕らは耐え忍んでいた。
「今日はいつもと音が違って聞こえたな」
「どうやら最新型らしい。パワーは桁違いだとか」
ゾッとした。旧型ですらたくさんの仲間が葬られたのに、明日は生き延びられるだろうか。
ふと広場に繋がる方に目をやると、見たことのない奴が転がり込んできた。カラフルな色を身にまとった美しい彼女は、ここでは異彩を放っている。
「助けてください!私、逃げてきたんです」
まずいな、僕は思った。こういった居住地区は、異分子により崩壊しやすい。
「もちろんさ、その辺りは危険だ。もっと奥に来るといい」
仲間の1人が彼女に言う。彼女はお礼を述べながら、素直に従った。悪い娘では無さそうだ。
「ここだ!」
しばらくすると、彼女の追っ手がやってきた。彼女は逃げ惑っていたが、しばらくすると捕まってしまった。同胞たちも巻き添えをくらい、捕まっていく。まずい、奴らに存在がバレてしまう。
巨大な棒が去っていくと、轟音が鳴り響く。最新型だ。僕らはもう殲滅されるだろう。
やはり異分子は崩壊を招く。
「スーパーボールは取れたけど、埃すごいよ。ついでにここ掃除するね。」
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