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2度目に小人に会った時、小人は髭に釣り糸を絡ませ、今にも川に引きずり込まれようとしていた。
白練は思わず持っていたハサミで髭を切り、小人を助けた。
「なんてことしやがる! 俺の大切の髭を! どうしてくれよう! そうだ! お前に呪いをかけてやる! お前らはあの熊が好きなんだな? あいつがどんな奴かもしらないままに! 姿の違いも知らないままに! ならその残りの半分も変えてやるのだ!」
白練の絹のような肌はすっかり失われ、普通の女の子の姿になってしまった。
小人はまた悪態をつきながら側にあった袋を担いで立ち去った。
「真朱、私すっかり変わってしまった、真朱は私を嫌いになる?」
「そんなことはないよ。私は白練が大好き。死ぬまで一緒だよ」
「よかった、私も同じ。でも熊はどうだろう」
2人は変わらぬままに毎日を過ごした。
3度目に小人に会った時、小人は大鷲に肩を掴まれ連れ去られようとしているところだった。真朱は急いでその足を掴んで暴れ、大鷲は諦めて飛び去った。
「なんてことしやがる! 服が破けちまった! どうしてくれよう! そうだ! お前に呪いをかけてやる! お前らはあの熊が好きなんだな? あいつがどんな奴かもしらないままに! 姿の違いも知らないままに! ならその姿を変えてやるのだ!」
真朱は朱い唇ではなく、隣に立つ白練とそっくりの女の子の姿が現れた。
2人が家に帰った時、母親は、まあ素敵! と驚いて2人を抱きしめて涙ぐんだ。
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