白梅と紅梅(裏) 【意見募】もっと表現追加したほうがいい場合は修正します!

6/12

14人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
2人は新しい姿でも変わらずいつも一緒で、手を組んで森を歩いた。2人の姿は変わっても、2人にとって世界は何も変わらなかった。何も問題はない。2人は死ぬまで一緒。2人は微笑みあった。 いつの間にか家の前の紅白の梅の木の花は全て散り果てていた。日差しはより強くなり、木の葉の緑も濃くなり、その影はより黒くなった。 その日、2人は森の中で久しぶりに熊に会った。 「熊、お久しぶりです」 「小人は捕まりましたか」 「……お前らは誰だ?」 熊は警戒するような目で2人を眺めた後、2人が白練と真朱だと知ると驚き、2人を抱きしめた。 2人は熊に小人に出会って呪われてすっかり姿を変えられたと話した。熊は酷く複雑な表情をした。 「2人は元の姿に戻るのは嫌だろう?」 「私たち? 私たちはどちらでもいいわ」 「そう、私と白練はいつも一緒だもの」 「俺が小人を倒すと2人は元の姿に戻るだろう」 「そうなの?」 「そうなの?」 「俺は元の姿に戻りたい」 「元の姿?」 「元の姿?」 「そう、俺はもともと人間なんだ。今の2人と同じように」 「そうなの?」 「そうなの?」 「2人にはわからないか」 熊は少し寂しそうに笑って立ち去った。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加