娘からの手紙

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 極端な丸文字は可愛い姿を思わせてくれる。  ハッとするような綺麗な字は、優雅かつ物静かでいて、凛とした厳しさも持ち合わせた優等生を感じる。  癖のある字も、読みにくくはあるが味わいはある。  大き目の文字は、いかにも元気な娘の姿が見えるようで微笑ましい。  同じような内容の手紙でも、文字が違えば、そこに含まれた意味合いもまた変わってくる。  例えば僕は綺麗な字の手紙が好きだ。  綺麗な字で、なおかつ少し大人びた文章が書かれているのが凄く良い。  父親に甘えたい自分を必死で抑え、ちょっと背伸びした手紙を書いている姿を思うと、思わず目頭が熱くなってくる。  その最後に、お土産の事なんか書かれていたら、その手紙はもう芸術品だ。  溢れ出す甘えたい心の片鱗がそこに輝いているのだ。  お土産なんて店ごと買って帰るからねって気分になる。  二つとして同じ手紙は無い。  それが手紙の素晴らしさだと僕は思う。
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