青春のぬれ衣

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青春のぬれ衣

 エスカレーターで、少年の前の女性がカードを落としてパッと拾った。女性はミニスカートだったので、少年はとっさに横を向いた。  そして向き直ったとき、女性と目が合った。  少年はあわてて言った。 「み、見てません! なにも見てません!」  少年の慌てぶりが裏目に出た。女性は目を吊り上げて少年をにらみつけた。  憤慨して去る女性のはるか後方で、少年は半ベソになっていた。 「どうして僕っていつもこうなの……」  身の潔白を主張するたび、裏目に出る。  たぶん、青春あるあるである。
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