叫びを流す少女

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叫びを流す少女

 少女は幼い頃から便秘に悩まされてきた。  そのせいで、いろんな思いをしてきた。  そして時はデトックスの時代。  少女は驚いた。そんなにたくさんの人が便秘に悩んでいたとは知らなかった。  無理もない。少女はまだ思春期だった。便秘の話なんかより、アイドルや夢の話や恋バナをしていたかったし、友人らもそういった話題を好んだから、便秘のことなど、言いたいときでも言い出せなかった。  少女は1人、デトックスに取り組んだ。  ある朝、ひどい気分の悪さとともに、トイレへかけ込んだ。  だが、出ない。  そのうち脳裏になぜか、走馬灯のように過去がよみがえってきた。  少女はそのすべてに対して叫んだ。 「うっぜーわ!! お前らのことなんかもう気にしてないし!!」  そのとたん、すべて吐き出された。  少女は軽くなった身体にホッと息をついた。  なんとなく見つめながら流した。  そう、まるで過去を見送るように。  流しきると、気分まで明るくなった。  その日の学校は、いつもより楽しく感じられた。  翌朝、また気分の悪さで目が覚めた。  少女は思った。  何度でも来い!  何度でも水に流してやる!  私は生きながらにして生まれ変わる!  少女は長く辛かった過去を、水に流すんだと決めた。ムシャクシャを思いっきりトイレに流してやるのは、とても気分がよかった。
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