常にスクープあり?

1/1
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/101ページ

常にスクープあり?

 ファーストフード店に、怪しげな男が入ってきた。  男は帽子を目深に被りながら、カウンターに小声で言った。 「ここに来れば、常に2つのスクープがあると聞いたんだが。」 「は?」  応対した店員は、思わぬことを言われて一瞬素の顔になったが、思い当たることがあってスマイルを作った。 「バイキングスクープとオニオンスクープのことでしょうか。」  男は身を乗り出した。 「それはなんのことだ?!」  店員はスマイルのまま、説明した。 「バイキングスクープは揚げたポテトをすくう道具、オニオンスクープは刻み玉ねぎをすくう道具のことです。」  男はしばしの無言のあと、 「どうやらオレを救うスクープではなかったようだな。」 と言って、出ていった。
/101ページ

最初のコメントを投稿しよう!