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はぐれアリの生き方
「あれ?」
美知子は窓ガラスに奇妙なアリを見つけた。
腹というのか、シリというのか、通常ふくらんでいるパーツが、棒のように細い。
痩せているのだと思った美知子は、キッチンから砂糖を持ってきた。アリのそばに置こうとして、ふと気づいた。
アリが何かを狙っている。
小虫だ。アブラムシくらいに小さい。
微動だにしないアリに、何も気づいていない様子の小虫が近づいていく。
アリが動いた!
早技だった。
小虫をとらえ、あっという間に食った。
そして、窓ガラスを歩いて去った。
美知子は察した。
ふだん服や何かにくっついてきたアリを逃がしたあと、どうやって巣に戻るのだろうと、いつも不思議だったが、今まさに答えを見た。
一匹アリとして、自分で自分のために狩りをして生きていくのか……。
アリの適応力に生命の強さを見た思いの美知子だった。
( 実話です。あ、名前は仮名です。)
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