リラックス時?

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リラックス時?

「う~ん……」  旅先で、彼女がつらそうな顔をし始めた。 「どした?」 「うん……。私、はじめて来る場所って、緊張しちゃって、お腹が張るんだよね。」 「はっはっは、なら、晩の温泉で出るんじゃね? ポコポコポコ~って。」 「もう!」  お腹はつらそうだが、機嫌までわるいわけではないらしい。屁くらい、なんかの拍子に出るだろうと、俺は気に留めなかった。  さて、その晩のことだ。  それぞれ温泉を楽しみ、部屋で合流してご馳走を食い、就寝となった。  恋人と同じ部屋だからって、初日から手を出す気はない。そんなのはあさましい。 「じゃあ、電気消すね。」 「ああ、おやすみ。」 「おやすみなさい。」  昼間けっこう歩いたからか、彼女はすぐに寝息を立て始めた。  疲れたからといって、こんなにすぐに眠ってしまうなんて、子供みたいだな。俺はひそかに微笑んだ。  その時だった。  ブッふうぅう~!!  何かの圧でも抜けたかのような音がして、俺は事故かと慌てて明かりを点けた。  そして室内を見回したとき、彼女が「うーん…」と寝返りを打った。その顔は、ほころんでいた。 「………あ~。そういうことね。」  リラックスした彼女の腹から圧が抜けたらしい。 「こいつぅ。」  なぜか愛しさを感じた俺は、ぐっすり眠っている彼女の額を人差し指ではじく真似だけして、明かりを消した。  リラックスして眠る彼女とは対照的に、眠れなくなってしまった俺だった。
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