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シャワーを止めて、スウェット上下と下着を脱いだ。浴室のドアを細く開けて、洗面所の床に投げ捨てる。洗濯物が増えるけど、許せ、木崎、と心で詫びて、またシャワーを全開にした。
「リュウはもう出ていいよ。パパ呼んで、バスタオルもらって」
うん、とうわの空の返答で、なにやら真剣な面持ちでスポンジを弄んでいる。
「スポンジ、面白い?」
「あわ……、ヨギちゃんの……」
「え……、ああ、わたしのために泡を作ってくれてんの?」
リュウの肩をつかんで、また椅子に座らせ、スポンジにボディーソープをひと垂らしした。
「ほら、こうやって、ぎゅ、ぎゅって。ほい、もうちょっと力入れて。がんばれがんばれ。わたし、今からシャンプーするから、シャワーのかからないところで、座ってやってね。絶対に立ちあがらない。いい?」
もう返事も忘れて没頭している。この隙にと、大急ぎでシャンプーとコンディショナーをすませた。
髪を掻きあげて振り返ると、リュウの両手が泡でいっぱいになっている。聖子を見上げてにんまり笑い、立ちあがって尻に塗りたくってくれた。
そこから、ふたりで泡を作っては塗り合い、さらには投げ合い、壁にぶつけ、笑う、が始まった。
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