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ふたりの嬌声を聞きつけたのか、浴室の磨りガラスドアの向こうに人影が現れた。
「おーい、シャワーは終わったか」と、ガラリと扉を引いた木崎が、口をあんぐり開けて固まった。「ちょ……、おま……、何やってんだあ」
狭い浴室には湯気が濛々とたちこめ、壁のあちこちにへばりついた泡の塊がじわじわと涙を流しつつある。
「パパも、やる?」
聖子からリュウへと視線を移し、頬を赤らめて「俺は、やらん」と、小さく吐き捨てた。
「おもしろいのにい」
木崎が顔をあげて喚いた。
「面白くても、やらんと言ったら、やらん。朝メシがもうすぐできる。ヨギちゃんも、パ……、パンツくらい、穿けっ」
まともにこちらを見ないまま、行ってしまった。
「なーにをいまさら。あーあ、怒られちゃったねえ。はい、じゃあリュウは出て。リュウ、出たからねー。バスタオルと髪、乾かしてー」
開いたままのドアから顔を突き出して叫んだ。
浴室内の泡をシャワーで流して出てみれば、洗濯機の上にバスタオルときちんと畳まれた洗濯済みの別のスウェットの上下が置いてあり、その上にちょこんと聖子のパンティーが乗っていた。
マメな男よのう、と胸につぶやいて、タオルを手に取った。
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