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 思わず笑ってしまった。そして小さな発見。 「あ、『な』書けてる」 「え……、本当だ。気がつかなかった」 「練習したんだろうなあ」 「竜から見たら、俺が一方的に悪いんだろう。まあ、実際、そうか……。ヨギちゃん、俺……、ちゃんと謝ってなかったよな」 「なに」 「竜に妹ができること、黙ってた」 「ああ……。でも、わたしもちょっと……、ううん、だいぶ、反省したよ。木崎の立場、見てるつもりで、ちゃんと見えてなかった。悪かったと思ってる」 「ヨギちゃんのそういうとこ、やっぱ好きだな。すごいなって思う」 「それは、どうも……、ありがと」 「でもな、もとはといえば俺が悪い。ヨギちゃんの言ったとおり、俺が問題をすり替えた。ごめんを百万回言っても、絶対足りない。竜も、理由はわからなくとも、俺のほうが悪いんだって、感じてたんだと思う。たぶん、俺の顔色やら態度から……。あの日以来、ヨギちゃんと俺は以前とは違って見えたんだ、きっと。だからこんな手紙を書いた。俺たちはうまく取りつくろっているつもりだったけど、あいつはお見通しだったってわけだ」 「一生懸命見てるんだね、わたしたちのこと。『な』が書けるようになるくらい、パパとわたしのことが大事なんだ、竜にとって」 「うん……。昨日、写真送っただろ、初詣の」
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