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「だってヨギちゃん、ぜんぜん嫉妬しないじゃないか。その、ピンクのシュシュだって真っ赤なティーバックだって、ぜんぜん平気な顔してる。そりゃまあ、5歳の子どもを連れた男だったら誰とでも入籍するってほどボランティア活動に熱心だとは言わないけど、ヨギちゃんにとっちゃ、俺と竜とで合わせ技一本ってとこだろ。俺の気持ちに比べたら、小せえ小せえ」 「嫉妬くらいするよ、わたしだって……」 「え……、そう……」  聖子が柔らかい微笑みを浮かべた。 「ピンクのシュシュにも真っ赤なティーバックにも、不思議と嫉妬心は湧かなかったけど、有佳さんには感じたな。こいつ、って思った。会ったことないけど」 「へえ……、へえ……。ふうん……、そうなんだ……」  木崎がとても居心地の悪そうな顔をした。 「ねえ、木崎」  聖子が木崎の首に手をかけて引き寄せた。  木崎が聖子の背中に腕をまわす。「わたしさ、たぶん木崎が思ってるより、木崎のこと、好きだよ」  耳元でささやいた。  聖子の肩の上で木崎が何度もうなずいた。 「よかった……。ほんと、よかった……。嬉しい……。嬉しいな。でも、ヨギちゃん……、いろいろ言われるよ、これから。だから、約束して。もしもいろんなこと、会社の人やら親戚の人から言われて、ヨギちゃんが我慢できなくなったら、すぐに言って。10年待たなくていい。そこで契約解消する。それと、もしもヨギちゃんに俺よりもっと好きな人ができて、その人と結婚したいって思ったら、それも、すぐに言うこと。俺は……、俺に竜がいて、ヨギちゃんがずっと竜の友だちでいてくれたら、俺は、きっと大丈夫だから」 「わかった……。あんたもだよ、木崎。こそこそするな」
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