5/12
170人が本棚に入れています
本棚に追加
/205ページ
「な、リュウ、これは、このパンツはもうあきらめよう。ん? お気に入りか。そうか。ああ、これか、このキャラクター、好きなんだ。うん、買いにいこう。まったくおんなじのがあるかどうかはわからないけど、こいつのついたやつなら、きっとあるから。え? ああ、今日でもいい。うん、今日、一緒にモール、行こうな。だからこれはもう捨てる。ズボンは俺が洗う。洗ってきれいにする。あ? ああ、ママは大丈夫だ。ママには俺が言う。リュウは何も言わなくていい。心配するな。だけどパンツは、な、新しいの、絶対買うから、いいな。な、いいよな」  間断なくリュウに語りかけている木崎に小さなゴミ袋を3枚手渡し、そのまま部屋の反対側の角にあるチェストの抽出しを開けた。紺色のボクサーパンツとソファにくたりと寝ていたスウェットをつかんで、またトイレへ行く。 「あんたはパンツくらい穿けば」と、衣類を床に置いて、木崎と同じように膝を折ってリュウの顔を覗き込んだ。  サンキュ、と小声で言って、木崎が入れ替わりに立ちあがった。 「ヨギちゃんさあ、あのさあ、申しわけないんだけど、ちょっとこいつ、見ててくれるかなあ。俺、ゴミ片づけて、そんでこいつを……」 「ねえ、おばちゃんとシャワー浴びよっか」
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!