1 莉子

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「そうだけど…」 「じゃあ、一緒に飲もうよ」 「え…、」 許可なんてしてないのに、席を立った彼は私の横に座った。 「マスター、これお代わり」 「かしこまりました」 彼に返事するのと同時に、私の目の前にカクテルが差し出された。とろりとしたピンクの液体。 「何これ?」 明るい声で彼が尋ねる。 「ストロベリーマティーニ、」 「なにそれ、かっこい!やっぱ俺もそれにする!」 プ、と吹き出してしまった。子どもみたいに無邪気な、その笑顔。 「なに?なんかおかしい?」 「いや、なんだか可愛いなと思って」 たまには、知らない人に愚痴を聞いてもらうのも良いかなって。 「じゃあ、今日はとことん飲もう!」 ピンクのカクテルグラスで乾杯した。
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