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榊原課長と「そういう関係」になったのは、5年前の冬。
新卒採用されてから、だんだん仕事にも慣れてきて、がむしゃらに働いていた23歳の時のこと。
私が勤めるのは、ベンチャーの不動産会社。
仲介からリフォーム、ファイナンシャルプランまで、ワンストップでサービスを行っている。
その中で、私は空間デザイン部、つまりリフォームやリノベーションを行っている部署の、第一課の営業として働いている。ちなみに彼は、第二課の課長、7つ歳上の当時30歳。
年末、仕事納めの日、空間デザイン部全員で忘年会をしていた時のこと。たまたま隣に座っていた彼と意気投合して。
結婚しているのも、幼い子どもが居るのも、何となく雰囲気で判っていたけど。
勧められるがまま、家まで送ってもらって。終電が終わっていたから「始発まで、寒いしうちで待ちますか?」みたいな話から、あれよあれよとそうなって。
ーーーそこからは、沼にハマったように抜け出せなくなってしまった。
仕事をスマートにこなすところも、たまに見せる笑顔も、2人で居る時の優しさも。
全部、全部、彼のことが好きだ。
ーーーただ、彼には家族が居るだけ。
不毛だと判っていながらも、核心には触れられないまま、ズルズルと5年が経つ。
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